 (撮影日 2004年2月14日 静岡県静岡市) |
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東京に、春一番が吹いたこの日、駿河湾を見下ろす高台は、うららかな春の日差しに包まれて心地よい。
病んでいる君を目の当たりにしてもなお心穏やかなのは、君と同じ海を見ているせいだろうか。 昔、君と時期を同じくして集められた桜は、やがて、海の向こうへと旅立ち、見知らぬ地で生きる運命を与えられた。 君は、残った同胞たちと運命を共にしたけれど、幾年月の流れの果てに、君だけがこの丘に一人立つことになった。 病んで枝を半分なくした今、失った豊かな花を惜しむ気持ちはあるけれど、残された枝に花を持ち続ける君の命の強さに心が揺さぶられる。 君が最後の最後まで、花を咲かせようとするのなら、私は君を応援しよう。 花のきれいさ豊かさよりも、君の命のひたむきさにエールをおくりたい。 （農業・生物系特定産業技術研究機構／
果樹研究所カンキツ研究部興津の桜） |